「食料がワクチン」

“食物即疫苗”

地球上にいまだ存在する飢餓に立ち向かう。国連世界食糧計画（ＷＦＰ）は、数多くの飛行機、船、トラックを動かす世界最大の人道支援機関である。とはいえ現場での活動は徒手空拳そのものだ。長く勤めた忍足謙朗（おしだりけんろう）さんの著書で学んだ。

作为全球最大的人道救援组织，联合国世界粮食计划署调动着大量的飞机、船只和卡车，向尚存于地球上的饥饿发起挑战。虽说如此，他们在一线救援却是靠的赤手空拳。曾长期任职于联合国世界粮食计划署的忍足谦朗将他的工作经历写进了《在联合国学到的战场领导力》中。

ボスニア紛争では現地視察をするのに防弾加工車が用意できなかった。二つの勢力が通りをはさんで撃ち合う中を全速力で通過した。コソボ紛争では難民キャンプが飽和状態で、小麦を配布しようにもパンを焼く場所すらないという問題に直面した。

书中写道，波黑战争中联合国世界粮食计划署派他们去当地考察，不过却没有弄到防弹车。交战双方隔着一条马路相互射击，在那样危险的情况下他们一行人驾车快速地通过了交战区。在科索沃战争中，难民营人满为患，就算给难民分发小麦也没有地方烤面包，可谓问题重重。

政情不安のカンボジアでは支援のために反政府側の村に入ること自体が命がけだった（『国連で学んだ修羅場のリーダーシップ』）。危険だからこそ食べ物を届ける。そんな仕事を続ける組織に、今年のノーベル平和賞が贈られる。

在政局动荡的柬埔寨，为了救援难民他们，甚至不惜冒死进入反政府组织控制的村庄。正是因为危险所以才要送去食物，联合国世界粮食计划署以此为理念救助了无数的难民，今年荣获诺贝尔和平奖。

コロナの流行で物資輸送に困難が伴うなか、食料配布を続け、せっけんなども提供しているという。「ワクチンができるまで、食料が混沌（こんとん）を防ぐ最良のワクチンだ」という信念のもとに。

新冠疫情肆虐，运送物资也变得困难起来，但是联合国世界粮食计划署仍然没有停下分发食物的脚步，而且还向难民们松去了肥皂。他们的理念是“在疫苗研制出来之前，食物是预防混乱的最佳疫苗”。

国連機関が平和賞に選ばれることには少し割り切れなさも感じる。平和や人道に尽くして当たり前の機関だからだ。しかしそんな当たり前の土台が崩されつつあるのが今の国際社会なのだろう。米国などが国連を軽視する姿勢に、平和賞が警鐘を鳴らしている。

联合国机构被颁于和平奖总让我觉得有些别扭。毕竟贯彻和平和与人道主义本来就是他们应尽的义务。然而，当今的国际社会中，这一理所当然的根基却在被不断侵蚀。诺贝尔和平奖为美国等一些国家藐视联合国的态度发出了警告。

「自分の国だけの平和はありえない。世界はつながっているのだから」。国連難民高等弁務官だった故緒方貞子さんの言葉だ。自国優先がはびこる時代に重くのしかかる。

已故的前联合国难民署高级专员绪方贞子曾说过，“没有国家可以独善其身只保自我和平，因为世界彼此相连。”这句话对于本国优先主义蔓延的当今来说是一记重重的一击。